猫でも分かる法律(薬学編)

法律(薬学)について分かりやすく説明します!

GMP 第2章 第四節 第27条(生物由来製品の製造管理)

(製造管理)

原文
第二十七条 製造業者等は、生物由来医薬品等に係る製品を製造する場合においては、製造部門に、第十条及び第二十四条に規定する業務のほか、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 製造工程において、製品等を不活化する場合又は製品等に含まれる微生物等を不活化し、若しくは除去する場合においては、当該不活化又は除去が行われていない製品等による汚染を防止するために必要な措置を採ること。
二 製造工程において、発酵等の生物化学的な技術を用いる場合においては、温度、水素イオン指数等の製造工程の管理に必要な事項について、継続的に測定を行うこと。
三 製造工程において、カラムクロマトグラフ装置等を用いる場合においては、微生物等による当該装置の汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、必要に応じエンドトキシンの測定を行うこと。
四 製造工程において、培養槽中に連続的に培地を供給し、かつ、連続的に培養液を排出させる培養方式を用いる場合においては、培養期間中の当該培養槽における培養条件を維持するために必要な措置を採ること。
五 次に定めるところにより、職員の衛生管理を行うこと。
イ 製造作業に従事する職員以外の者の作業所への立入りをできる限り制限すること。
ロ 現に作業が行われている清浄区域又は無菌区域への職員の立入りをできる限り制限すること。
ハ 製造作業に従事する職員を、使用動物(その製造工程において現に使用されているものを除く。)の管理に係る作業に従事させないこと。
六 次に定めるところにより、清浄区域又は無菌区域で作業する職員の衛生管理を行うこと。
イ 製造作業に従事する職員に、消毒された作業衣、作業用のはき物、作業帽及び作業マスクを着用させること。
ロ 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある疾病にかかっていないことを確認するために、職員に対し、六月を超えない期間ごとに健康診断を行うこと。
ハ 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合においては、申告を行わせること。
七 使用動物(製造に使用するものに限る。以下この項において同じ。)を常時適正な管理の下に飼育するとともに、その使用に当たっては、健康観察を行うことにより、伝染病にかかっている動物その他使用に適していない動物を使用することのないようにすること。
八 微生物により汚染されたすべての物品(製造の過程において汚染されたものに限る。)及び使用動物の死体を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること。
九 製造に使用する微生物の株の取扱いについて、次に掲げる事項に関する記録を作成し、これを保管すること。
イ 微生物の名称及び容器ごとに付された番号
ロ 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)
ハ 生物学的性状及びその検査年月日
ニ 継代培養の状況
十 痘そう病原体、急性灰白髄炎病原体、有芽胞病原菌又は結核菌を取り扱う作業室で使用する器具器械は、製品の種類ごとに標識を付して、他の製品の製造に使用することを禁止すること。
十一 生物由来医薬品に係る製品の製造に使用する生物(植物を除く。)に由来する原料(以下「生物由来原料」という。)については、当該生物由来原料が当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
十二 生物由来医薬品に係る製品の製造に使用する生物由来原料については、厚生労働大臣の定めるところにより、記録しなければならないとされている事項を第三十条第二号及び第三号に規定する期間自ら保管し、又は当該生物由来原料の原材料(製造に使用する原料又は材料(製造工程において使用されるものを含む。)の由来となるものをいう。)を採取する業者等(以下「原材料採取業者等」という。)との間で取決めを締結することにより、当該原材料採取業者等において適切に保管することとすること。
十三 第十条第九号及び前二号の記録を、製造する生物由来医薬品等たる製品のロットごとに作成し、これを保管すること。
2 製造業者等は、細胞組織医薬品に係る製品を製造する場合においては、製造部門に、第十条及び前項に規定する業務のほか、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 異なるドナー又はドナー動物から採取した細胞又は組織を取り扱う場合においては、当該細胞又は組織の混同及び交叉さ 汚染を防止するために必要な措置を採ること。
二 原料となる細胞又は組織について、受入れ時に、次に掲げる事項に関する記録により、当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
イ 当該細胞又は組織を採取した施設
ロ 当該細胞又は組織を採取した年月日
ハ 当該細胞又は組織が人に係るものである場合においては、ドナースクリーニング(ドナーについて、問診、検査等による診断を行い、細胞組織医薬品に係る製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。)のためのドナーの問診、検査等による診断の状況
ニ 当該細胞又は組織が動物に係るものである場合においては、ドナー動物の受入れの状況並びにドナースクリーニング(ドナー動物について、試験検査及び飼育管理を行い、細胞組織医薬品に係る製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。)のためのドナー動物の試験検査及び飼育管理の状況
ホ 当該細胞又は組織を採取する作業の経過
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、細胞組織医薬品に係る製品の品質の確保に関し必要な事項
三 原料となる細胞又は組織をドナー動物から採取する場合においては、採取の過程における微生物等による汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
四 職員が次のいずれかに該当する場合においては、当該職員を清浄区域又は無菌区域における作業に従事させないこと。
イ 製品等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合
ロ 細胞又は組織の採取又は加工の直前に細胞又は組織を汚染するおそれのある微生物等を取り扱っている場合
五 製品について、製品ごとに、出荷先施設名、出荷日及びロットを把握するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
六 配送について、製品の品質の確保のために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
七 ドナー動物の受入れ後の飼育管理に関する記録を作成し、これを保管すること。
八 第二号、第三号、第五号及び第六号の記録を、ロット(第五号の記録にあっては、製品)ごとに作成し、これを保管すること。
3 第十条及び前二項に規定する生物由来医薬品に係る製品に係る記録は、製造に使用した生物由来原料に関する記録から当該生物由来原料を使用して製造された製品に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管されなければならない。

分かりやすく
第二十七条 

第1項

製造業者等は、生物由来医薬品等を製造する場合、製造部門に、第十条と第二十四条に規定する業務のほか、手順書等に基づいて、次の業務を適切に行わせなければならない。


① 製造工程において、製品等の不活化や製品等に含まれる微生物等を不活化・除去する場合は、汚染を防止するために必要な措置を採ること。
② 製造工程において、発酵等の生物化学的な技術を用いる場合、温度、水素イオン指数等の製造工程で管理が必要な事項は、継続的に測定を行うこと。
③ 製造工程において、カラムクロマトグラフ装置等を用いる場合、微生物等による汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、必要に応じエンドトキシンの測定を行うこと。
④ 製造工程において、培養槽中に連続的に培地を供給し、かつ、連続的に培養液を排出させる培養方式を用いる場合、培養条件を維持するために必要な措置を採ること。
⑤ 次のように、職員の衛生管理を行うこと。
(1) 製造作業に従事する職員以外の者の作業所への立入りをできる限り制限すること。
(2) 現に作業が行われている清浄区域や無菌区域への職員の立入りをできる限り制限すること。
(3) 製造作業に従事する職員を、使用動物(その製造工程において現に使用されているものを除く。)の管理に係る作業に従事させないこと。
⑥ 次のように、清浄区域や無菌区域で作業する職員の衛生管理を行うこと。
(1) 製造作業に従事する職員に、消毒された作業衣、作業用のはき物、作業帽及び作業マスクを着用させること。
(2) 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある疾病にかかっていないことを確認するために、職員に対し、6か月未満ごとに健康診断を行うこと。
(3) 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合は、申告を行わせること。
⑦ 使用動物(製造に使用するもの)を常時適正な管理の下に飼育するとともに、使用する際は、健康観察を行い、伝染病等、不適な状態でないかをチェックすること。
⑧ 微生物により汚染されたすべての物品(製造の過程において汚染されたものに限る。)及び使用動物の死体を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処分すること。
⑨ 製造に使用する微生物のの取扱いについて、次の(1)~(4)を記載した記録を作成し、保管すること。
(1) 微生物の名称及び容器ごとに付された番号
(2) 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)
(3) 生物学的性状及びその検査年月日
(4) 継代培養の状況
⑩ 痘そう病原体、急性灰白髄炎病原体、有芽胞病原菌又は結核菌を取り扱う作業室で使用する器具器械は、製品の種類ごとに標識を付して、他の製品の製造に使用することを禁止すること。
⑪ 生物由来医薬品に係る製品の製造に使用する生物(植物を除く。)に由来する原料(以下「生物由来原料」という。)については、当該生物由来原料が当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
⑫ 生物由来医薬品の製造に使用する生物由来原料は、記録しなければならないとされている事項を第三十条第二号及び第三号に規定する期間自ら保管する。、

ただ、この保管は、生物由来原料の原材料を採取する業者等(以下「原材料採取業者等」という。)との間で取決めを締結することにより、その原材料採取業者等に保管させてもよい。
⑬ 第十条第九号及び前二号の記録を、製造する生物由来医薬品等たる製品のロットごとに作成し、これを保管すること。

第2項

製造業者等は、細胞組織医薬品を製造する場合、製造部門に、第十条及び前項に規定する業務のほか、手順書等に基づいて、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
① 異なるドナー又はドナー動物から採取した細胞又は組織を取り扱う場合、当該細胞又は組織の混同及び交叉さ 汚染を防止するために必要な措置を採ること。
② 原料となる細胞又は組織について、受入れ時に、次に掲げる事項に関する記録により、当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
(1) 当該細胞又は組織を採取した施設
(2) 当該細胞又は組織を採取した年月日

(3) 当該細胞又は組織が人に係るものである場合、ドナースクリーニング(人)※のためのドナーの問診、検査等による診断の状況

※ドナーについて、問診、検査等による診断を行い、細胞組織医薬品に係る製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。
(4) 細胞又は組織が動物に係るものである場合、ドナー動物の受入れの状況並びにドナースクリーニング(動物)※のためのドナー動物の試験検査及び飼育管理の状況

ドナー動物について、試験検査及び飼育管理を行い、細胞組織医薬品に係る製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。
(5) 当該細胞又は組織を採取する作業の経過
(6) (1)から(5)までに掲げるもののほか、細胞組織医薬品に係る製品の品質の確保に関し必要な事項
③ 原料となる細胞又は組織をドナー動物から採取する場合、採取の過程における微生物等による汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
④ 職員が次のいずれかに該当する場合、清浄区域又は無菌区域における作業に従事させないこと。
(1) 製品等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合
(2) 細胞又は組織の採取又は加工の直前に細胞又は組織を汚染するおそれのある微生物等を取り扱っている場合
⑤ 製品について、製品ごとに、出荷先施設名、出荷日及びロットを把握するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
⑥ 配送について、製品の品質の確保のために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
⑦ ドナー動物の受入れ後の飼育管理に関する記録を作成し、これを保管すること。
⑧ 第二号、第三号、第五号及び第六号の記録を、ロット(第五号の記録にあっては、製品)ごとに作成し、これを保管すること。

第3項 

第十条及び前二項に規定する生物由来医薬品に係る製品に係る記録は、製造に使用した生物由来原料に関する記録から当該生物由来原料を使用して製造された製品に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管されなければならない。